実家で見つけたもうひとつの裏原宿ファッション(裏原系)。その名も「HYOMA(ヒョーマ)」

実家にて昔の洋服を整理していたところ、またまた出土しました。懐かしい服が。その名も「HYOMA(ヒョーマ)」。このブランド名を聞いてビビッときた方は同世代かも。今回はこのHYOMAの服を元に、古(いにしえ)のファッションについて考えます。


もうひとつの裏原系。ブランド「20471120」から生まれた「HYOMA(ヒョーマ)」。1990年代~2000年代のメンズファッションを考える。

今回実家の洋服部屋を整理していたところ、出土した洋服がこちら。

このロゴとキャラクターでピンときた方は同年代。

HYOMA(ヒョーマ)というブランドのスウェットです。

洋服ダンスの深くから出土しましたが、状態は当時のままで虫食いや変色もなし。思わずこれを着ていた当時を思い出します。

この洋服は1990年代の後半~2000年代前半頃のもの。そう、メンズファッションが裏原宿を中心として熱気を帯びていた時期です。

インターネットが今ほど普及しておらず、雑誌SmartやBoon、COOLなどがファッションについての主な情報源でした。

雑誌に取り上げられたブランドやアイテムが、ファッションアイコンとして爆発的な人気を得るような時代です。

その中でもメンズファッションの一大潮流だったのが裏原宿系ファッション。

裏原宿系と聞くとネイバーフッドやグッドイナフ、エイプなどのようにストリート色が強く、どこかアンダーグラウンド感のあるファッションをイメージします。

(以下の記事でも紹介してます^^)

しかし、この時期に同じ裏原宿にてテイストの異なる人気ブランドがありました。

それが今回出土したスウェットのブランドである「HYOMA」。

そしてこのHYOMAの元となったブランド「20471120」です。

こちらの動画はコレクション発表時のものですが、サブカルな雰囲気で溢れている!おもしろい!今見ても斬新!

いわゆる裏原系と言われてイメージする悪っぽいファッションとは真逆です。

サイバー系とでもいうのでしょうか。

どこか近未来を想起させるカラーリングや素材感。

特撮もののキャラクターを感じさせるデザイン。

サイジングも裏原系がオーバーサイズだったのに対し、こちらはジャストサイズ。

アンダーグラウンド感溢れる裏原系が流行る一方で、このようなサブカルな雰囲気のファッションも人気を博していたのです。

この「20471120」の他にも、同様のテイストをもったブランドとして「beauty:beast」「W&LT(ウォルト)」などが挙げられます。(これらのブランドショップは新宿のマルイメンに集まっていたように記憶しています。個人的にこっそり新宿マルイメン系と呼んでます。)

その中でもbeauty:beastは、ゲームアニメ系アパレルとして人気があるブランドCOSPAと共同で展開をしているライン(COSPA by beauty:beast)があり、サブカル色が強いながらもハイセンスなアイテムを生み出していました。

※僕もこのCOSPA by beauty:beastのTシャツを愛用していました。かっこいいんです!

そして「20471120」。

こちらもまた、ブランドのアイコン的な存在として生み出した「HYOMA君」というキャラクターをそのままブランド化し「HYOMA」というブランドを展開します。

こちらがブランドアイコンのHYOMA君です。

このとぼけたフェイス、いかがでしょうか。

当時裏原宿でゴリゴリのストリート感溢れるファッションが流行る一方で、Tシャツやパーカーの中心にこの愛くるしいキャラクターがドーン!とプリントされたアイテムが大人気。凄い時代です。

アニメやゲームといったカルチャーが世界的に人気を広げ、オタク文化が世界に誇れる素晴らしい文化として一般的に受け入れられている現在では、攻殻機動隊やエヴァンゲリオンといったアニメ作品を各ブランドがコラボして取り入れること自体珍しくありません。

しかしオタク文化が今ほど受け入れられていなかった当時は、アニメゲームといった文化はファッションとは遠い位置にありました。

オタクがオシャレと結びつくことなど考えられない時代です。

その中にあって、このサブカルテイスト満載のアイテムを、オシャレな人たちに「かっこいい」と感じさせた各ブランドの視点は革新的でした。

僕自身、もともとアニメやゲームが大好きだったこともあり、このテイストを纏ったブランドが大好きでした。

だからこそ、20年近く経った今でもこの服が大事に実家に保管されていたのだと思います。

各時代のトレンドを見ても、サイバーで近未来的、そしてサブカル感に満ちたトレンドって珍しい。

しかもそのトレンドが裏原系と共存してたっていうのも面白い。

それだけに、過去を振り返ると今回タンスから出土したこのアイテムはとても貴重だなと思います。

大事にしなきゃ。

「HYOMA」のスウェットレビュー!質は正直かなり高いです。

ではでは、今回出土したHYOMAのスウェットを見ていきましょう。

まずはこちら。

ラグランスリーブ仕様のスウェットです。左腕部分にヒョーマ君ワッペンが縫われています。

そして胸にはHYOMAのロゴ。このロゴがかっこいい!デザインが特撮のタイトルっぽくてかっこいいのです。

背面は無地です。

肩付近が透けているのが分かりますでしょうか。このスウェット、アメリカのヘビーなスウェットとは異なり、やや薄手です。そしてシャープなシルエットになっているため着ぶくれすることがありません。着用した際にスッキリと上品な印象になります。

ロゴタグはサイドについています。

タグの裏には「交信」の文字。SFチック。

そして、裏返してみると、とても縫製が綺麗なんです。

これ裏面です。スウェット特有のパイル状の裏地ですが、かなり目が細かい!そして縫製がとても丁寧!

割と作りが荒いことが多いワキ部分もガッシリ丁寧に作られてますね。

リブの裏側も表側と思うぐらい丁寧。

品質タグはこんな感じです。

といった感じです。

全体的にデザインもかっこいいのですが、品質も良質です。

続いてこちら。

こちらはユナイテッドスポーツというアメリカの既製品スウェットにプリントを施したと思われるものです。

プリント部分が少し安っぽいところが面白い。ヒョーマ君が海賊になっています。

タグもユナイテッドスポーツタグの横にそのままザクッと縫われています。

こちらは最初のラグランスリーブスウェットと比べると少し雑な印象です。かすかな記憶ですが、こちらの黒スウェットは金額もラグランスリーブのものより安価だったと思います。数千円だったでしょうか。

「HYOMA」が作り出したファッションの世界観とトレンドの再興

ということで、今回はHYOMAというブランドを思い出してみました。

当時のスウェットを前にすると、その頃のファッションの空気を思い出します。

オタク気質がかなり強かった私は、その真逆にあると思っていた「オシャレ」が、アニメゲームが持つサブカルな雰囲気と交わる瞬間をこの「HYOMA」の洋服に感じ、魅了されたのだと思います。

ファッションとは相容れない自分の好きな文化が、オシャレとして昇華されファッションの地原宿で認められるというのは嬉しいものです。

繰り返すトレンドの中で、またこういったファッションの潮流が現れることを楽しみにしています。

では最後に、先ほどのスウェットの着用写真です。

アンダーアーマーのスポーツウェアではありません。先ほど紹介したスウェットです。

20年前からかなり身体がサイズアップしたためパツパツです。

せっかくのスッキリシルエットの洋服もこれでは・・・。ダイエット頑張ります。

ではでは^^